当院では患者さんが不妊となられている原因と患者さんご自身の希望を考慮し、最適な治療を提供しています。
不妊症の定義は、「通常の夫婦生活があるが、1年以上子供が授からない場合」とされています。
そのため、1年以上頑張っているけれど授からないという場合には、不妊症であると考えられます。
不妊治療には大きく分けて、原因がわかりそれを治療していくというものと、原因が不明ではある中で授かるように補助していくものがあります。
当院では、一人一人に最適な(テーラーメイドされた)治療を実施しています。
不妊原因がわかる場合の治療法の例(代表的なもの)
不妊原因 | 治療法 | |
女性 | 卵管性不妊 (卵管が詰まったり、狭まったりしている) |
FT(卵管鏡下卵管形成術) 体外受精 |
卵巣性不妊 (PCOS:多嚢胞性卵巣症候群などの排卵障害) |
排卵誘発、体外受精 PCOSの場合、IVM(未成熟卵子の成熟体外培養)の適用あり |
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男性 | 無精子症 (精液中に精子が全くいない) |
精巣内精子回収術(TESE) |
乏精子症・造精機能障害 (精液検査において、基準値に満たない場合) |
精索静脈瘤がある場合は精索静脈瘤低位結索術を行う 人工授精、顕微授精の適用あり |
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勃起障害・膣内射精障害 | 薬剤治療ほか |
上記のように不妊原因が明確にわかる場合は、その原因を除去していく治療を考えていきます。上記はあくまでも一例であり、実際に不妊原因が二つ以上関係していたり、例えば、卵管が狭まっていって、女性の年齢が40歳、男性の精子も少ない、というように複雑に絡み合っているケースも多くあります。
原因がわからない場合や女性の年齢が35歳を過ぎているという場合には以下のような治療方法が考えられます。
不妊原因がわからない場合の治療法の例
これから治療を考えている方々
治療方法 | ステップアップ法 | ステップダウン法 |
概要 | タイミング法⇒人工授精⇒体外受精と、治療法を徐々にステップアップしていく方法 | 少しでも妊娠率の高いうちに最も高確率な治療から実施していく方法 |
ステップアップ治療
ステップアップ治療の対象は、原則として以下のような条件を満たす方となります。
・一通りの検査をしても不妊原因が明らかにならない方
・35歳未満の方
ステップアップ治療とは、不妊の原因がわからないご夫婦に対して、
最も侵襲性の低いタイミング法から人工授精、体外受精というように治療のステップを上げていく方法です。
実際に、不妊期間が3年で、女性の年齢が35歳の場合、各治療ごとの1周期あたりの妊娠率は、
タイミング法:2%
人工授精:5%
体外受精:40%
といわれています。
大切なのは一つの治療方法にこだわり続けることで妊娠率が高まるわけではないということです。
そのため、一定の期間を基準値として設けて、順次ステップアップしていきますし、
その都度、医師や看護師と相談し、意思確認しながら治療を進めていく必要があります。
当院では、
タイミング法 6か月から1年程度
人工授精 3-5回
を標準的な期間として考え、ステップアップしていきます。
ステップダウン治療
ステップアップの逆でステップダウンという治療方針があります。
これは、できるだけ妊娠する確率が高い年齢のころに、最も妊娠する可能性の高い治療から始めようという考えです。
そのため、はじめから体外受精を実施するということになります。
あくまでも治療方針の決定は患者さんご自身の意思で選択していただきます。