葉酸について

妊娠を計画している女性や妊娠している女性にとって必要な栄養素は複数ありますが、今回は葉酸について紹介します。

 

○葉酸とは

ビタミンB群の水溶性ビタミンで、妊娠期、授乳期の母親にとって必要な栄養素のひとつといわれています。

緑黄色野菜、豆類、果物、卵など身近な食品に多く含まれています。葉酸は水に溶けやすく、熱に弱い性質をしています。

摂取したうちの50%は翌日までに尿や汗で排出されてしまうことや、

調理による損失を考慮すると毎日摂取することが必要です。

 

 

○葉酸はいつから必要?

葉酸は胎児の神経管閉鎖障害(NTDs:neural tube defects)発症リスクを低減させることが知られています。

NTDsとは、妊娠6週未満の神経胚形成の過程で、神経管の閉鎖障害を起こす中枢神経系の先天異常です。

代表的な疾患として、無脳症や二分脊椎症があります。NTDsは妊娠3~4週目に発症するといわれていることから、

予防のためには妊娠の1か月程前からの摂取が勧められています。

妊娠中に葉酸が不足すると、NTDsのほかに、先天性心疾患等胎児奇形、血管障害が生じるリスクも知られています。

血管障害においては胎盤の血管にも影響し、

その結果、胎盤剥離・梗塞、胎児の発育障害および早期流産などを引き起こす可能性があることが報告されています。

これらのことから、葉酸は妊娠前から意識的に摂取し続けることが重要です。

また、葉酸の摂取は男性にも効果があることが分かってきています。

葉酸摂取によって、精子の奇形や染色体異常が20~30%低くなったという報告があります。

 

 

どれくらい必要?

葉酸の必要量は時期により異なるため、それぞれの時期に応じた必要量を摂取することが重要です。

また、葉酸は自然食品に含まれるプロテイルポリグルタミン酸と、

サプリメントや強化食品に含まれるプロテイルモノグルタミン酸の2種類あり、

代謝経路や利用効率が異なる為、食事からの摂取に加え、サプリメントなどで付加的に摂ることが望まれています。

厚生労働省では、以下の量を推奨しています。

 

推奨摂取量

食事から サプリメント等から 合計
妊娠前 240μg 400μg 640μg
妊娠中 240μg 240μg 480μg
授乳期 240μg 100μg 340μg
男性 240μg

厚生労働省[日本人の食事摂取基準(2015年版)]より

 

 

○葉酸を含む食品例(可食部100gあたり)

・枝豆(ゆで)      260μg   ・納豆         120μg

・ホウレンソウ(ゆで)  110μg    ・ブロッコリー(ゆで)  120μg

・イチゴ(なま)     90 μg          ・マンゴー(なま)    84μg

・鶏卵        43 μg

 

 

〇サプリメントについて

葉酸は妊娠前から授乳期まで意識的に摂取する必要があります。

日本人の平均的な摂取量は1日あたり約240μgですが、毎日食事から推奨されている量を摂取し続けることは難しいと思います。

そこで、サプリメントを活用することをお勧めします。

当院では葉酸を含むサプリメントとして、“プレグナ ベーシック”と“エレビット”を処方しています。

“プレグナベーシック”は1日当たり6カプセル服用して400μg、“エレビット”は1日当たり3粒服用して800μgの葉酸を摂取することできます。

栄養素は摂取後すぐに最適な血中濃度を満たせるわけではありません。​

そのため、妊娠時に必要な栄養素や不足しがちな栄養素は、妊娠前から摂取しておくことが大切です。

​サプリメントは簡便性から過剰摂取が懸念されています。

葉酸に限らず、栄養素は基本的には食事から摂り、不足分をサプリメントで補うようにしましょう。

 

葉酸と妊娠成績については妊活ノートでも紹介しています。

https://ninkatsu-note.com/archives/2764

 

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