説明書A-Ⅰ 体外受精・胚移植法

本治療を行う対象について

1) 体外受精による不妊治療は卵管因子、子宮因子、卵巣因子(年齢因子)、男性因子、原因不明不妊症などにより、この方法による治療以外では妊娠の可能性がない、又はきわめて低いと判断される夫婦を対象としています。

2) 当院では日本産科婦人科学会の会告に従い、体外受精・胚移植法の対象は挙児を強く希望する夫婦としています。

3) 夫婦は原則として法的に婚姻関係にあるものとし、心身ともに妊娠・分娩・育児に耐え得る健康状態とします。

当院では、治療を受けられる方がご夫婦であることの確認として、事前に「戸籍謄本(原本)」を1通提出していただきます。ご夫婦どちらかが外国籍の場合は、「戸籍謄本(原本)」と外国人登録書(正式名称調べる)、もしくは「婚姻関係証明書類(海外で入籍の場合)」の提出が必要となります。ご夫婦ともに外国籍の場合は、「婚姻関係証明書類」が必要です。事実婚で治療を希望する場合は「戸籍謄本」および「婚姻関係に関する誓約書」の提出をお願いいたします。なお、戸籍謄本等は手術当日が、発行日から1年以内であることが必要です。婚姻関係に変更があった場合(離婚、事実婚の解消、事実婚夫婦の婚姻等)には、速やかに当院へ連絡をお願いいたします。

体外受精の歴史とわが国の実情

体外受精・胚移植法による不妊治療は1978年に英国で初めて成功し、我が国においては1983年に初めて成功しました。今までに12万人以上のお子様が体外受精・胚移植法により誕生しています。体外受精・胚移植法は標準的な治療であり、実験的な新しい治療法ではありません。

体外受精の方法(別頁の代表的な誘発方法もご参照下さい)

1)卵巣刺激: 卵巣刺激(GnRHaロング法、GnRHaショート法、GnRHアンタゴニスト法、低卵巣刺激法など)により卵胞を複数個発育させるか、自然周期にて1つの卵胞発育を待ちます。排卵誘発剤による卵巣刺激は、採卵の際に良好な卵子を数多く採取するために行われます。

2)採卵手術: 卵胞が育ったら、採卵手術を計画します。経腟(まれに経腹)超音波ガイド下にて卵胞に採卵針を穿刺し、卵胞液を吸引することにより卵子を採取します(採卵手術)。採卵の麻酔は、原則として局所麻酔で行います。卵胞数が少ない場合は、痛み止めの坐薬のみ使用の場合もあります。

3)精液採取: ご主人には、採卵当日に採精していただき、遠心分離処理(濃度勾配法)などにより、形態・運動性共に良好な精子を回収します。

4)媒精:1個の卵子に対して、通常、精子が10万個前後になるよう調整し媒精(卵子と精子を一緒にすること)します。

5)受精しているかどうかは、採卵翌日判断をします。受精が確認された前核期胚をさらに培養し、採卵から2~5日目に受精卵(2細胞~胚盤胞)1個を子宮内に移植します(胚移植)。ただし、妻が35歳以上であるか、2回以上続けて妊娠不成立であった場合については2個を移植する場合もあります。

6)採卵日、移植日はあらかじめ、めやすをご説明します。ただし、めやす通りの日に採卵、移植ができず、日程がずれることもあります
妊活セミナーについて

治療を行うにあたり、十分な説明を行うように努めますが、当院では、高度生殖医療(体外受精)のセミナーを開催しておりますので、できる限りご参加ください。参加できない場合でも、本説明書には、当院の治療方針、治療の方法、料金、リスクなどが記載してありますから、熟読の上で、十分な予備知識をつけて治療に臨むよう努めてください。

スクリーニング検査

この治療を受けられる方は、スクリーニング検査(夫;血液型および感染症採血検査、妻;血液型および感染症などの採血検査と心電図)を受けていただきます。(有効期限1年間)。

主な身体的リスク

(合併症、副作用)年齢や卵巣の状態、ホルモンの状態によりOHSSを生じることがあります(発症頻度:約10%)。OHSSは排卵誘発剤(内服、注射)の投与により卵胞が過剰に発育し、黄体期に卵巣腫大、腹水貯留等による多彩な病状を呈する症候群をいいます。OHSSになりやすい方は、多嚢胞性卵巣症候群の方、抗ミュラー管ホルモン(AMH)の検査値が高い方、排卵障害があり排卵誘発剤を結果的に多く必要とする方、35歳以下の方、やせ型の方などがリスクが高いと考えられていますが、必ずしもあてはまらない場合もあります。OHSSが重症化する要因は明確ではなく、OHSS発症やそれに関連する有害事象(合併症)すべての危険性を事前に回避することは不可能です。特に、OHSSは妊娠すると重症化するため、OHSSが重症化する可能性が予想される場合、その周期における胚移植は行わず、全胚を凍結保存します(この場合、胚移植はOHSSの状態が改善されたことを確認した後、凍結しておいた胚を融解して移植します)。

採卵に伴うリスク

採卵は安全に留意して行うように努めますが、採卵による腟壁出血の可能性が考えられます。腟壁出血に対しては、出血部位をガーゼで数分間圧迫して止血を試みます。ほとんどの場合は圧迫止血にて止血可能ですが、どうしても止血できない場合は、局所麻酔下に吸収糸で縫合を行うことがあります。また、状況によっては総合病院に搬送することがあります。
これ以外に起こりうる合併症として、卵巣出血(腹腔内出血)、膀胱損傷(膀胱出血など)、腸管損傷、骨盤内感染(骨盤腹膜炎、子宮付属器炎、卵巣膿瘍)、経腟超音波プローベによる圧迫や採卵用針の穿刺による痛みを原因とする迷走神経反射(血圧低下、徐脈、ショックなど)などが起こる可能性があります。

このような場合、入院加療、救急搬送や、頻度は低いものの、手術等が必要になる可能性があります。(入院となる可能性は、1,000~3,000例に1例程度です)

採卵の際の麻酔に伴うリスク

局所麻酔の場合: 局所麻酔中毒、舌のしびれ、耳鳴など

静脈麻酔の場合: 呼吸抑制や血圧低下、悪心・嘔吐、気分不良など

重篤なものでは、ごくまれに徐脈、呼吸停止、低酸素症、アナフィラキシーショックなど

当院では、これらのリスクや緊急時に備え、麻酔を行う場合は静脈ルート確保(点滴)、心電図モニター、酸素飽和度測定を行っているほか、降圧薬、昇圧薬、ショックに対する薬剤、AEDを準備し、緊急時のマニュアルを完備し、定期的な訓練を行っておりますが、症状が重篤で、当院では対処できないと考えられる場合は、総合病院に救急搬送となる可能性があります。

当院では、原則として静脈麻酔は行いませんが、何らかの理由で静脈麻酔を行う場合、お一人での帰宅は禁止です(当院から自宅まで、必ずご主人とご帰宅いただきます)。

4)多胎妊娠

これまで、体外受精・胚移植法では一般に平均2~3個の胚を子宮に移植していたため、自然妊娠に比べ、多胎妊娠が高率でした。双胎(ふたご)や品胎(みつご)等の多胎妊娠は、母体にも胎児にもリスクがあり、その後の健康にも大きな影響を与えます。

多胎妊娠のリスクとして、子宮内胎児発育遅延(妊娠週数に対して胎児が小さい)、早産、子宮内胎児発育遅延や早産による低出生体重児(心臓や肺などの器官が未熟なまま生まれてくる)、前置胎盤、前期破水、羊水過多、常位胎盤早期剥離、子宮内胎児死亡(双胎間輸血症候群による1児死亡など)、新生児食道閉鎖、胎児心奇形、脳性麻痺(単胎の5倍以上)、妊娠高血圧症候群(妊娠中毒症)などのリスクの増加があります。

なお、一卵性の双胎(非常にまれに品胎)も考えられ、2個胚移植した場合は、二卵性品胎や二卵性要胎(よつご)の可能性も考えられます。

産婦人科医や小児科医の減少により、多胎妊娠の妊婦を受け入れる施設も減少しています。当院では妊娠後の母子の健康にも留意し、皆様の治療を行っていきたいと考えております。よって、当院の胚移植個数は原則1個となっています。

5)流産・子宮外妊娠(異所性妊娠)

子宮外妊娠を強く疑う場合、入院設備のない当院では管理できないため、その緊急性により当院近隣の総合病院、あるいは地元の総合病院への転院、入院、治療(薬物治療、あるいは手術)が必要となることがあります。

6)深部静脈血栓症

OHSSやホルモン剤の使用により、深部静脈血栓症のリスクがやや増加します。室温を高すぎない適温に保ち、適度な水分を摂取し、過度の安静を避け、必ず禁煙し、肥満の場合は減量を心がけてください。

7)薬剤アレルギー

排卵誘発剤などの注射により、穿刺部位の数cm程度の発赤やじんま疹、掻痒感(かゆみ)が出ることがあります。この場合、診療時間内に当院に電話をして指示をあおいでください。また、抗生物質、バファリン、ホルモン剤により、じんま疹、気分不良などがみられることがまれにあります。自宅でこういった症状に気づいた場合、原因と思われる薬の内服を中止し、できるだけ早く当院に電話をして指示をあおいでください。いずれの場合も、夜間に全身に発赤やじんま疹が出る、呼吸困難など症状が重篤の場合は、総合病院を救急受診してください(この場合、必ず翌日に当院に電話で報告してください)。

8) 子宮内感染

胚移植当日は少量の出血をすることがありますが、子宮のびらんや操作の刺激によるものです。ただし、胚移植後に骨盤内感染(骨盤腹膜炎、急性子宮内膜炎、子宮付属器炎等)を起こす可能性が希にあります。症状としては、腹痛、発熱、出血などがあります。38℃程度以上の高熱が出たり、強い下腹痛が続くようなときは早めにご相談下さい。また、このような場合、救急搬送や入院加療が必要となる可能性があります。

当院では、身体的合併症が起こらないように留意して診療や手術・処置を行いますが、本治療においては、過失がなくても避けられない合併症が存在します。

身体的リスク以外のリスクと、治療成績

1)採卵について

  • 採卵による卵回収率は、穿刺卵胞数あたりで70%~80%です。これは卵巣の状態により大きく異なります。
  • 発育卵胞数あるいは実際に穿刺した卵胞数と比べて採卵数が少ない、卵の成熟率が低い(未熟卵が多い)ことがあります。頻度は高くありませんが、卵子が1つも取れない場合もあります(empty follicle syndrome;空胞症候群)。
  • 子宮筋腫、卵巣腫瘍、子宮内膜症、癒着、卵巣の位置などの理由で卵胞穿刺が困難であったり、卵胞穿刺は可能でもそれによる合併症発生の可能性が高いと判断した場合は、左右のどちらか、あるいは両方の卵胞穿刺を行えず、卵子が得られないことがあります。
  • ホルモン異常や卵胞発育不良で採卵に至らない場合、採卵当日に排卵していて採卵できない場合などがあります。

2)受精率について

  • 体外受精による受精率(媒精翌日に、前核が2つ見える率)は、個人差はありますが成熟卵数あたりで、平均約70%です。
  • 受精障害があった場合などは、受精卵が1個も得られないことがあります。
  • 受精障害がない場合の受精率は、通常、顕微授精を行った場合とほぼ同等です。

3)胚移植について

  • 採卵数や成熟卵子の数および卵子・精子の状態、また年齢などにより、この方法を用いても受精卵が1個も得られない、または分割不良などで胚移植を行えない場合もあります。
  • 胚移植当日に、子宮内に移植用のカテーテル(チューブ)が入りにくいことがあります。この場合、子宮頸管を拡張する処置をしてから胚移植を行うことがあります。また、子宮頸管拡張を行っても移植が困難な場合は、やむを得ずその日の移植を中止となることも考えられます。
  • 子宮内に胚を移植したあと、胚移植に使用したカテーテルの中に、胚が残ってしまっていることが1~3%程度あります。このため、胚移植に使ったカテーテルの中に胚が残っていないか必ず確認を行い、もし残っている場合は、再度胚移植を行います。
  • 頻度は低いものの、胚移植の際、胚をカテーテルに吸う時や、移植作業中に、何らかの理由で胚が損壊したり、紛失したりして移植できないことがあります。
  • ホルモン異常、採卵時の状況、OHSSなどで新鮮胚移植ができないことがあります。

4)妊娠率および先天異常

  • 新鮮胚移植周期での妊娠率は、胎嚢の確認を妊娠とした場合、胚移植数あたりで約20%です(年齢・卵巣予備能力・治療回数などによります)。
  • 2015年の当院の妊娠率は、新鮮胚移植あたり約18%, 凍結融解胚移植あたり約40%です。 (妊娠率は年齢を重ねるほど低くなります)。
  • 出生児の奇形率は約3%で主な奇形として心奇形、四肢の異常、頭部の異常などがありました。

5)その他のリスク

  • 高度生殖医療をくり返し受けることにより、身体へ何らかの影響を及ぼす可能性は明らかではありませんが、否定はできません。
  • 治療を行う・繰り返すことにより、精神的負担が生じる可能性が考えられます。希望により、当院の心理カウンセラーによるカウンセリングをお受けいただくことができます。また、先天異常などの心配がある場合、遺伝カウンセラーによる専門的なカウンセリングをお受けいただくことができます。
  • 体外受精・胚移植法により出産した児の長期予後については、継続的な調査が行われてこなかったため、分かっていない点があることをご了承ください。
  • 卵子、精子、受精卵(胚)を培養するための培養液には蛋白源を必要とします。その蛋白添加物が生物由来のものである場合、必ず適切な感染症スクリーニングが実施されていることを確認し、使用しております。

卵子・精子・胚の損傷もしくは紛失について(免責事項)

採卵後の卵子、精子(精巣組織)、胚の培養期間中、凍結保存期間中、体外受精・顕微授精・その他の実施中、凍結・融解作業中、胚移植の一連の作業中は、当院は十分注意を払って作業いたしますが、卵子、精子、胚、凍結保存物は肉眼では確認できないほどの小さなものであり、必ずしも当院側の過失がなくとも、損傷、破損、もしくは紛失する可能性があります。

  • 不可抗力、あるいは当院の責に帰することができない事由により卵子、精子、胚の損傷、紛失した場合、当院は、その責を負いかねますので、あらかじめご了承ください。これにより卵子・精子・胚が損傷または紛失した場合、患者さまの意思に関わらず廃棄となります。
  • 当院では、培養器はコンクリートの床にアンカー固定し、独自の非常電源を確保するなどしており、凍結タンクについてはスポンジで四方を囲んだ安全な場所に個別に収納するなど、培養中、凍結保存中の卵子、精子、胚の安全に対して十分な対策を行っておりますが、天災(地震、噴火、津波、雷等)、災害(火災等)、停電、内乱・戦争、部外者の犯罪行為(テロ等)、不慮の事故、その他やむを得ない事由で、培養器などの各種機器や凍結タンクが強い衝撃等を受けたり、培養器などの電子機器が異常電圧を受けたりして、機器の破損や故障、凍結タンクの破損が起こり、卵子、精子、胚が紛失あるいは破損する可能性があります。

天災(震災)、災害、停電時の対応について

  • 当院の培養室は自家発電設備を備えており、天災(震災)、災害等により自家発電設備が破損しなければ一定時間は培養器その他への電力供給が継続されます。
  • 発電時間には限りがあるため、天災(震災)、災害、その他の理由で、長時間停電が予想される場合、損傷、紛失を免れた培養中の卵子、胚などは当院の判断で凍結保存させていただくことがあります。
  • 培養継続には電力が必要となりますが、凍結後の凍結物(卵子、精子、胚)は液体窒素で満たしてある頑丈なタンクで保管しており、またタンクの維持には電力を必要としないため、停電時でも容器の破損がなければ安全に保管できます。
  • 凍結を決断するかどうか、および、どの卵子、胚を凍結するのかについて、患者さまそれぞれに、事前の相談・連絡は困難です。当院の被害状況や凍結に必要な薬剤の在庫・被害状況などによっては、凍結する胚の選別を行ったり、1本の容器に複数の胚をまとめて凍結せざるを得なかったり、凍結そのものが困難な可能性も考えられますが、同時期に治療を行っていた他の患者さまの状況もふまえ、全体として、その時点で最善と考えた判断で対応いたします。
  • 本説明書、同意書は、長時間停電時に、当院が必ず培養中の胚を凍結できることを約束するものではありません。
  • 天災(震災)、災害時の状況により、クリニック内に凍結タンクを保管するよりも移動した方が安全だと判断した場合、タンクをより安全な場所に移動する可能性もあります。その判断は当院に一任して頂きます。また、凍結タンクの移動には、細心の注意を払い取り扱いますが、余震等による衝撃が凍結タンク内の卵子・精子・胚に影響する可能性が否定できないことをご了承ください。
  • 天災(震災)、災害、停電時等は、当院は患者さま一人ひとりの胚・凍結物の状態等について、短時間に判断することを必要とします。当院では、その時点で選択し得る最善だと考えられる判断のもとに対処いたします。治療を受けられる患者さまは、天災(震災)、災害、停電時等の判断については当院に一任していただくものとし、患者さまは、当院に重大な過失がない限り、当院が最善と考えて下した判断について、異議申し立てはしないものとします。
  • 当院の判断で卵子、胚を凍結した場合、原則として、別紙記載の凍結料・保管料をいただきます。料金の詳細や、その後の対応については、事後に、個別にご説明いたします。
  • 天災(震災)、災害、その他が起こった場合の具体的な状況については、当院ホームページ上にて近況を掲載する場合がありますのでご確認下さい。なお、個別の状況の説明や、今後のご相談については、説明の行き違いを避けるため、ご来院いただいての説明となります。個別の状況については、お電話、メールでの個別の説明はいたしかねますので、ご了承ください。

⑩胚移植、凍結に用いられない卵子・胚・精子

体外受精・胚移植法による胚移植、凍結に用いられない卵子・胚・精子は廃棄いたします。

    他の治療方法

    • 年齢や治療歴をふまえ、他の治療方法でも妊娠する可能性がある場合は、他の治療法を先行して行う場合があります(卵管鏡下卵管形成術:FTなど)。

    治療費用

    体外受精・胚移植法に必要な料金は以下の通りです(別頁の料金表もご参照ください)。

    採卵代 200,000円 (刺激周期の場合)

    培養代 110,000円

    胚移植代     60,000円

    合計        370,000円  ※料金は誘発方法や採卵回数により異なる

    卵巣刺激料金(注射・投薬ほか)、その他検査料金等は別途お支払いいただきます。

    麻酔を行う場合、局所麻酔の場合は別途20,000円、静脈麻酔の場合は50,000円いただきます。この治療法により妊娠しなかった場合も、実施分の料金はお支払いいただくことをご了承ください。ただし、卵子が採取できなかった場合は、培養料相当額はいただきません。また、胚移植ができない場合は、胚移植料はかかりません。

    • 関連する治療行為について医学的常識に基づいて施行されたにも関わらず、万一発生した不可抗力の事態に対しては、法律に基づいて対処させていただきます。

    関連する治療行為は一任していただき治療の実施を致します。希望がある場合は必ず採卵前日までに相談してください。

    お子様連れの方へ

    採卵当日および胚移植当日は、お子様連れでのご来院は固くお断りします。お守りいただけない場合、手術をお断りする場合があります。

    同意の取り消しただし、一度同意があって行った医療行為について、あとから同意を取り消した場合、すでに行われた医療行為については同意があって行われたものとします。採卵は、前日より準備をいたしますので、患者さまのご都合にて、採卵前日正午以降にキャンセルされる場合、材料費相当額として、キャンセル料50,000円を申し受けます。あらかじめご了承ください。

    胚移植後の取り消しはできません。

    患者さまは治療中、胚移植前であればいつでも本治療の同意を取り消すことが可能です。

    • 個人情報の取り扱いまた、当院における個人情報の使用は、個人情報保護法及び関連するガイドラインに従っており、医療提供、診療費請求のための事務、当院での管理運営業務と、医療サービス向上のために守秘義務誓約書を交わした審査機関による審査のみとし、それ以外の目的で使用されることはありません。なお、学会報告に使用される個人的情報は全て匿名化され、個人を特定できないよう、十分に配慮いたします。
      適応 : 体外受精・胚移植

    体外受精・胚移植法により妊娠した場合、日本産科婦人科学会への報告義務があります。そのため、妊娠・分娩後の経過について当院より分娩施設へ問い合わせがあった場合、情報の提供に同意していただけますようお願いいたします。

    説明書A-Ⅱ 顕微授精・胚移植法

    本治療を行う対象について2) 当院では日本産科婦人科学会の会告に従い、顕微授精・胚移植法の対象を挙児を強く希望する夫婦としています。当院では、治療を受けられる方がご夫婦であることの確認として、事前に「戸籍謄本(原本)」を1通提出していただきます。ご夫婦どちらかが外国籍の場合は、「戸籍謄本(原本)」と外国人登録書(正式名称調べる)、もしくは「婚姻関係証明書類(海外で入籍の場合)」の提出が必要となります。ご夫婦ともに外国籍の場合は、「婚姻関係証明書類」が必要です。事実婚で治療を希望する場合は「戸籍謄本」および「婚姻関係に関する誓約書」の提出をお願いいたします。なお、戸籍謄本等は手術当日が、発行日から1年以内であることが必要です。

      1. 婚姻関係に変更があった場合(離婚、事実婚の解消、事実婚夫婦の婚姻等)には、速やかに当院へ連絡をお願いいたします。
      2. 3) 夫婦は原則として法的に婚姻関係にあるものとし、心身ともに妊娠・分娩・育児に耐え得る健康状態とします。
      3. 1) 顕微授精の適応になる方は男性不妊(高度乏精子症・高度精子無力症・無精子症など)・難治性の受精障害(体外受精で受精しない・受精率が低い)などにより、この方法以外では妊娠の可能性がきわめて低いか、もしくは妊娠の可能性がないと判断されたご夫婦、または受精障害の可能性を考慮し、この技術を希望したご夫婦が対象とされています。
        顕微授精の歴史とわが国の実情
      4. 顕微授精は1992年Palermo医師らにより妊娠出産が報告され、我が国においては1994年に初の出産が報告されており、これまでに10万人以上のお子様が誕生しています。顕微授精・胚移植法は標準的な治療であり、実験的な新しい治療法ではありません。
        顕微授精の方法(別頁の代表的な誘発方法もご参照下さい)
        卵巣刺激: 卵巣刺激(GnRHaロング法、GnRHaショート法、GnRHアンタゴニスト法、低卵巣刺激法など)により卵胞を複数個発育させるか、自然周期にて1つの卵胞発育を待ちます。排卵誘発剤による卵巣刺激は、採卵の際に良好な卵子を数多く採取するために行われます。
        採卵手術: 卵胞が育ったら、採卵手術を計画します。経腟(まれに経腹)超音波ガイド下にて卵胞に採卵針を穿刺し、卵胞液を吸引することにより卵子を採取します(採卵手術)。採卵の麻酔は、原則として局所麻酔で行います。卵胞数が少ない場合は、痛み止めの坐薬のみ使用の場合もあります。
    1. 精液採取: ご主人には、採卵当日に採精していただき、遠心分離処理(濃度勾配法)などにより、形態・運動性共に良好な精子を回収します。4)顕微授精: 顕微授精とはintracytoplasmic sperm injection(ICSI)のことを指し、精子を顕微鏡で観察しながら卵子に細い針を刺して細胞質の中に直接精子を注入する方法です。
    2. 6)採卵日、移植日はあらかじめ、めやすを説明します。ただし、めやす通りの日に採卵、移植ができず、日程がずれることもあります。
    3. 5)ICSI後、受精しているかどうかは、採卵翌日判断をします。受精が確認された前核期胚をさらに培養し、採卵2~5日目に受精卵(2細胞~胚盤胞)1個を子宮内に移植します(胚移植)。ただし、妻が35歳以上であるか、2回以上続けて妊娠不成立であった場合については2個を移植する場合もあります。
    4.   採卵後の卵子から卵丘細胞を除去後、卵子の状態を確認し成熟卵に対して顕微授精を行います。顕微授精の方法としては、外径7μm、内径5μmのガラスピペットにて1個の精子を1個の卵細胞質内に注入します。
    • 妊活セミナーについて
      治療を行うにあたり、十分な説明を行うように努めますが、当院では、高度生殖医療(体外受精)のセミナーを開催しておりますので、できる限りご参加ください。参加できない場合でも、セミナー冊子(検査・治療説明書)や本説明書には、当院の治療方針、治療の方法、料金、リスクなどが記載してありますから、熟読の上で、十分な予備知識をつけて治療に臨むよう努めてください。
    • スクリーニング検査
      この治療を受けられる方は、スクリーニング検査(夫;血液型および感染症採血検査、妻;血液型および感染症などの採血検査と心電図)を受けていただきます。(有効期限1年間)。
    • 主な身体的リスク(合併症、副作用)年齢や卵巣の状態、ホルモンの状態によりOHSSを生じることがあります(発症頻度:約10%)。OHSSは排卵誘発剤(内服、注射)の投与により卵胞が過剰に発育し、黄体期に卵巣腫大、腹水貯留等による多彩な病状を呈する症候群をいいます。OHSSになりやすい方は、多嚢胞性卵巣症候群の方、抗ミュラー管ホルモン(AMH)の検査値が高い方、排卵障害があり排卵誘発剤を結果的に多く必要とする方、35歳以下の方、やせ型の方などがリスクが高いと考えられていますが、必ずしもあてはまらない場合もあります。OHSSが重症化する要因は明確ではなく、OHSS発症やそれに関連する有害事象(合併症)すべての危険性を事前に回避することは不可能です。特に、OHSSは妊娠すると重症化するため、OHSSの重症化する可能性が予想される場合、その周期における胚移植は行わず、全胚を凍結保存します(この場合、胚移植はOHSSの状態が改善されたことを確認した後、凍結しておいた胚を融解して移植します)。2)採卵に伴うリスクこれ以外に起こりうる合併症として、卵巣出血(腹腔内出血)、膀胱損傷(膀胱出血など)、腸管損傷、骨盤内感染(骨盤腹膜炎、子宮付属器炎、卵巣膿瘍)、経腟超音波プローベによる圧迫や採卵用針の穿刺による痛みを原因とする迷走神経反射(血圧低下、徐脈、ショックなど)などが起こる可能性があります。このような場合、入院加療、救急搬送や、頻度は低いものの、手術等が必要になる可能性があります。(入院となる可能性は、1,000~3,000例に1例程度です)

     

    採卵は安全に留意して行うように努めますが、腟壁出血の可能性が考えられます。腟壁出血に対しては、出血部位をガーゼで数分間圧迫して止血を試みます。ほとんどの場合は圧迫止血にて止血可能ですが、どうしても止血できない場合は、局所麻酔下に吸収糸で縫合を行うことがあります。また、状況によっては総合病院に搬送することがあります。

     

    OHSSの予防として、hMG(FSH)注射の量を減らしたり、GnRHアンタゴニスト法や低刺激法では採卵前のhCG注射のかわりに点鼻薬を用いることもあります。また、当院では黄体補充に原則としてhCGを用いずプロゲステロンのみを投与しています。

    当院では、年齢、検査結果(超音波、血液検査)、今までの治療経過などを考慮し、可能な限り重症OHSSとならないよう留意しながら治療計画を立てますが、一人ひとりに必要な排卵誘発剤の量には非常に大きな個人差があり、少量の排卵誘発剤でも予想外にOHSSが重症化する場合や、治療上の必要性があってやむを得ず必要量の排卵誘発剤を投与した結果OHSSとなる場合(例えば、多量の排卵誘発剤を使わなければ卵胞発育に至らないが多量に排卵誘発剤を使うとOHSSが避けられない体質、低刺激で結果が出ず排卵誘発剤使用による刺激周期が望ましいと考えられる場合など)をはじめ、OHSSを避けることが難しい場合があります。

    多くの場合は軽症ですが、まれに深部静脈血栓症など、生命に関わる重篤な場合(肺塞栓、脳塞栓など)も起こり得ます。

    1)卵巣過剰刺激症候群(OHSS)

    2)採卵の際の麻酔に伴うリスク

    局所麻酔の場合: 局所麻酔中毒、舌のしびれ、耳鳴など

    静脈麻酔の場合: 呼吸抑制や血圧低下、悪心・嘔吐、気分不良など

    重篤なものでは、ごくまれに徐脈、呼吸停止、低酸素症、アナフィラキシーショックなど

    当院では、これらのリスクや緊急時に備え、麻酔を行う場合は静脈ルート確保(点滴)、心電図モニター、酸素飽和度測定を行っているほか、降圧薬、昇圧薬、ショックに対する各種薬剤、AEDを準備し、緊急時のマニュアルを完備し、定期的な訓練を行っておりますが、症状が重篤で、当院では対処できないと考えられる場合は、総合病院に救急搬送となる可能性があります。

    当院では、原則として静脈麻酔は行いませんが、何らかの理由で静脈麻酔を行う場合、お一人での帰宅は禁止です(当院から自宅まで、必ずご主人とご帰宅いただきます)

    4)多胎妊娠

    これまで、体外受精(顕微授精)・胚移植法では一般に平均2~3個の胚を子宮に移植していたため、自然妊娠に比べ、多胎妊娠が高率でした。双胎(ふたご)や品胎(みつご)等の多胎妊娠は、母体にも胎児にもリスクがあり、その後の健康にも大きな影響を与えます。多胎妊娠のリスクとして、子宮内胎児発育遅延(妊娠週数に対して胎児が小さい)、早産、子宮内胎児発育遅延や早産による低出生体重児(心臓や肺などの器官が未熟なまま生まれてくる)、前置胎盤、前期破水、羊水過多、常位胎盤早期剥離、子宮内胎児死亡(双胎間輸血症候群による1児死亡など)、新生児食道閉鎖、胎児心奇形、脳性麻痺(単胎の5倍以上)、妊娠高血圧症候群(妊娠中毒症)などのリスクの増加があります。

    なお、一卵性の双胎(非常にまれに品胎)も考えられ、従って、2個胚移植した場合は、二卵性品胎や二卵性要胎(よつご)の可能性も考えられます。

    また、産婦人科医や小児科医の減少により、多胎妊娠の妊婦を受け入れる施設も減少しています。当院では妊娠後の母子の健康にも留意し、皆様の治療を行っていきたいと考えております。当院の胚移植個数は原則1個となっています。

    5)流産・子宮外妊娠(異所性妊娠)

    体外受精(顕微授精)・胚移植法により妊娠をしても、流産(約20%、年齢により上昇)になる場合、子宮外妊娠(約2%)になることがあります。(自然妊娠でも流産や子宮外妊娠は1%程度存在します)

    流産や子宮外妊娠を確実に防ぐ方法はありません。

    流産を繰り返す場合、当院で不育症検査を受けることができます。不育症検査で異常が見つかった場合、不育症治療を行うことができます。

    子宮外妊娠を強く疑う場合、入院設備のない当院では管理できないため、その緊急性により当院近隣の総合病院、あるいは地元の総合病院への転院、入院、治療(薬物治療、あるいは手術)が必要となることがあります。

    6)深部静脈血栓症

    OHSSやホルモン剤の使用により、深部静脈血栓症のリスクがやや増加します。室温を高すぎない適温に保ち、適度な水分を摂取し、過度の安静を避け、必ず禁煙し、肥満の場合は減量を心がけてください。

    7) 薬剤アレルギー

    排卵誘発剤などの注射により、穿刺部位の数cm程度の発赤やじんま疹、掻痒感(かゆみ)が出ることがあります。この場合、診療時間内に当院に電話をして指示をあおいでください。また、抗生物質、バファリン、ホルモン剤により、じんま疹、気分不良などがみられることがまれにあります。自宅でこういった症状に気づいた場合、原因と思われる薬の内服を中止し、できるだけ早く当院に電話をして指示をあおいでください。

    いずれの場合も、夜間に全身に発赤やじんま疹が出る、呼吸困難など症状が重篤の場合は、総合病院を救急受診してください(この場合、必ず翌日に当院に電話で報告してください)。

    8) 子宮内感染

    胚移植当日は少量の出血をすることがありますが、子宮のびらんや操作の刺激によるものです。ただし、胚移植後に骨盤内感染(骨盤腹膜炎、急性子宮内膜炎、子宮付属器炎等)を起こす可能性が希にあります。症状としては、腹痛、発熱、出血などがあります。38℃程度以上の高熱が出たり、強い下腹痛が続くようなときは早めにご相談下さい。また、このような場合、救急搬送や入院加療が必要となる可能性があります。

    当院では、身体的合併症が起こらないように留意して診療や手術・処置を行いますが、本治療においては、過失がなくても避けられない合併症が存在します。 

    身体的リスク以外のリスクと、治療成績

    1)採卵について

    • 採卵による卵回収率は、穿刺卵胞数あたりで70%~80%です。これは卵巣の状態により大きく異なります。
    • 発育卵胞数あるいは実際に穿刺した卵胞数と比べて採卵数が少ない、卵の成熟率が低い(未熟卵が多い)ことがあります。頻度は高くありませんが、卵子が1つも取れない場合もあります(empty follicle syndrome;空胞症候群)。
    • 子宮筋腫、卵巣腫瘍、子宮内膜症、癒着、卵巣の位置などの理由で卵胞穿刺が困難であったり、卵胞穿刺は可能でもそれによる合併症発生の可能性が高いと判断した場合は、左右のどちらか、あるいは両方の卵胞穿刺を行えず、卵子が得られないことがあります。
    • ホルモン異常や卵胞発育不良で採卵に至らない場合、採卵当日に排卵していて採卵できない場合などがあります。

    2)受精率について

    • 顕微授精を行った場合の受精率(顕微授精翌日に、前核が2つ見える率)は採卵された成熟卵のうち75%程度です。
    • 受精障害があった場合などは、受精卵が1個も得られないことがあります。
    • 受精障害がない場合の受精率は、通常、体外受精を行った場合とほぼ同等です。

    3)胚移植について

    • 採卵数や成熟卵子の数および卵子・精子の状態、また年齢などにより、この方法を用いても受精卵が1個も得られない、または分割不良などで胚移植を行えない場合もあります。
    • 胚移植当日に、子宮内に移植用のカテーテル(チューブ)が入りにくいことがあります。この場合、子宮頸管を拡張する処置をしてから胚移植を行うことがあります。また、子宮頸管拡張を行っても移植が困難な場合は、やむを得ずその日の移植を中止となることも考えられます。
    • 子宮内に胚を移植したあと、胚移植に使用したカテーテルの中に、胚が残ってしまっていることが1~3%程度あります。このため、胚移植に使ったカテーテルの中に胚が残っていないか必ず確認を行い、もし残っている場合は、再度胚移植を行います。
    • 頻度は低いものの、胚移植の際、胚をカテーテルに吸う時や、移植作業中に、何らかの理由で胚が損壊したり、紛失したりして移植できないことがあります。
    • ホルモン異常、採卵時の状況、OHSSなどで新鮮胚移植ができないことがあります。

    4)妊娠率および先天異常

    • 新鮮胚移植周期での妊娠率は、胎嚢の確認を妊娠とした場合、胚移植数あたりで約20%です(年齢・卵巣予備能力・治療回数などによります)。
    • 2015年の当院の妊娠率は、新鮮胚移植あたり約18%, 凍結融解胚移植あたり約40%です。(妊娠率は年齢を重ねるほど低くなります)。
    • 出生児の奇形率は約3%で主な奇形として心奇形、四肢の異常、頭部の異常などがありました。
      5)その他のリスク
    • 高度生殖医療をくり返し受けることにより、身体へ何らかの影響を及ぼす可能性は明らかではありませんが、否定はできません。
    • 治療を行う・繰り返すことにより、精神的負担が生じる可能性が考えられます。希望により、当院のカウンセラーによるカウンセリングをお受けいただくことができます。また、先天異常などの心配がある場合、遺伝カウンセラーによる専門的なカウンセリングをお受けいただくことができます。
    • 児の先天異常に関しては常染色体異常の発生の割合は自然妊娠では0.21~0.61%、顕微授精においては0.83%、性染色体の構造異常の発生の割合は自然妊娠で0.19~0.23%、顕微授精においては0.83%と若干顕微授精の場合のほうが高い傾向にあるという報告があります。しかし、自然妊娠と変わらないという報告もあります。
    • また、顕微授精の適応が男性不妊の場合、AZF遺伝子の異常(Y染色体の微小欠失)やCFTR遺伝子の異常などが男児に遺伝する可能性があります。顕微授精における先天異常の発生率に関して心配がある方は、当院において遺伝カウンセラーによる専門的なカウンセリングを受けることができますので、利用されることをお勧めいたします。
    • 卵子、精子、受精卵(胚)を培養するための培養液には蛋白源を必要とします。その蛋白添加物が生物由来のものである場合、必ず適切な感染症スクリーニングが実施されていることを確認し、使用しております。
    • 卵子・精子・胚の損傷もしくは紛失について(免責事項)当院では、培養器はコンクリートの床にアンカー固定し、独自の非常電源を確保するなどしており、凍結タンクについてはスポンジで四方を囲んだ安全な場所に個別に収納するなど、培養中、凍結保存中の卵子、精子、胚の安全に対して十分な対策を行っておりますが、天災(地震、噴火、津波、雷等)、災害(火災等)、停電、内乱・戦争、部外者の犯罪行為(テロ等)、不慮の事故、その他やむを得ない事由で、培養器などの各種機器や凍結タンクが強い衝撃等を受けたり培養器などの電気機器が異常電圧を受けたりして、機器の破損や故障、凍結タンクの破損が起こり、卵子、精子、胚が紛失あるいは破損する可能性があります。不可抗力、あるいは当院の責に帰することができない事由により卵子、精子、胚の損傷、紛失した場合、当院は、その責を負いかねますので、あらかじめご了承ください。
    1. これにより卵子・精子・胚が損傷または紛失した場合、患者さまの意思に関わらず廃棄となります。
    2. また、採卵後の卵子、精子(精巣組織)、胚の培養期間中、凍結保存期間中、体外受精・顕微授精・その他の実施中、凍結・融解作業中、胚移植の一連の作業中は、当院は十分注意を払って作業いたしますが、卵子、精子、胚、凍結保存物は肉眼では確認できないほどの小さなものであり、必ずしも当院側の過失がなくとも、損傷、破損、もしくは紛失する可能性があります。
    3. 採卵後の卵子、精子(精巣組織)、胚の、培養期間中、凍結保存期間中、体外受精・顕微授精・その他の実施中、凍結・融解作業中、胚移植の一連の作業中は、当院は十分注意を払って作業いたしますが、卵子、精子、胚、凍結保存物は、必ずしも当院側の過失がなくとも、損傷、破損、もしくは紛失する可能性があります。
      天災(震災)、災害、停電時の対応について

     

    1. 当院の培養室は自家発電設備を備えており、天災(震災)、災害等により自家発電設備が破損しなければ一定時間は培養器その他への電力供給が継続されます。
    2. 発電時間には限りがあるため、天災(震災)、災害、その他の理由で、長時間停電が予想される場合、損傷、紛失を免れた培養中の卵子、胚などは当院の判断で凍結保存させていただくことがあります。
    3. 培養継続には電力が必要となりますが、凍結後の凍結物(卵子、精子、胚)は液体窒素で満たしてある頑丈なタンクで保管しており、またタンクの維持には電力を必要としないため、停電時でも容器の破損がなければ安全に保管できます。
    4. 凍結を決断するかどうか、および、どの卵子、胚を凍結するのかについて、患者さまそれぞれに、事前の相談・連絡は困難です。当院の被害状況や凍結に必要な薬剤の在庫・被害状況などによっては、凍結する胚の選別を行ったり、1本の容器に複数の胚をまとめて凍結せざるを得なかったり、凍結そのものが困難な可能性も考えられますが、同時期に治療を行っていた他の患者さまの状況もふまえ、全体として、その時点で最善と考えた判断で対応いたします。
    5. 本説明書、同意書は、長時間停電時に、当院が必ず培養中の胚を凍結できることを約束するものではありません。
    6. 天災(震災)、災害時の状況により、クリニック内に凍結タンクを保管するよりも移動した方が安全だと判断した場合、タンクをより安全な場所に移動する可能性もあります。その判断は当院に一任して頂きます。また、凍結タンクの移動には、細心の注意を払い取り扱いますが、余震等による衝撃が凍結タンク内の卵子・精子・胚に影響する可能性が否定できないことをご了承ください。
    7. 治療を受けられる患者さまは、天災(震災)、災害、停電時等の判断については当院に一任していただくものとし、患者さまは、当院に重大な過失がない限り、当院が最善と考えて下した判断について、異議申し立てはしないものとします。
    8. 当院の判断で卵子、胚を凍結した場合、原則として、別紙記載の凍結料・保管料をいただきます。料金の詳細や、その後の対応については、事後に、個別にご説明いたします。
    9. 天災(震災)、災害、その他が起こった場合の具体的な状況については、当院ホームページ上にて近況を掲載する場合がありますのでご確認下さい。なお、個別の状況の説明や、今後のご相談については、説明の行き違いを避けるため、ご来院いただいての説明となります。個別の状況については、お電話、メールでの個別の説明はいたしかねますので、ご了承ください。
      胚移植、凍結に用いられない卵子・胚・精子
      顕微授精・胚移植法による胚移植、凍結に用いられない卵子・胚・精子は廃棄いたします。
    • 他の治療方法
      年齢や治療歴をふまえ、他の治療方法でも妊娠する可能性がある場合は、他の治療法を先行して行う場合があります(卵管鏡下卵管形成術:FTなど)。
      治療費用
    • 顕微授精・胚移植法に必要な料金は以下の通りです。(別頁の料金表もご参照ください)採卵代                200,000円 (刺激周期の場合)
      培養代                        110,000円
      胚移植代                      60,000円
      顕微授精               50,000円 (9個まで)
      合計                            420,000円
      ※料金は誘発方法や採卵回数により異なる※費用に消費税は含みません(税別)。卵巣刺激料金(注射・投薬ほか)、その他検査料金等は別途お支払いいただきます。麻酔を行う場合、局所麻酔の場合は別途20,000円、静脈麻酔の場合は50,000円いただきます。この治療法により妊娠しなかった場合も、実施分の料金はお支払いいただくことをご了承ください。ただし、卵子が採取できなかった場合は、培養料相当額はいただきません。また、胚移植ができない場合は、胚移植料はかかりません。
    • 関連する治療行為について医学的常識に基づいて施行されたにも関わらず万一発生した不可抗力の事態に対しては、法律に基づいて対処させていただきます。
      関連する治療行為は一任していただき治療の実施を致します。
      希望がある場合は必ず採卵前日までに相談してくださいお子さま連れの方へ
      採卵当日および胚移植当日は、お子さま連れでのご来院は固くお断りします。お守りいただけない場合、手術をお断りする場合があります。
      同意の取り消し・キャンセル料ただし、一度同意があって行った医療行為について、あとから同意を取り消した場合、すでに行われた医療行為については同意があって行われたものとします。採卵は、前日より準備をいたしますので、患者さまのご都合にて、採卵前日正午以降にキャンセルされる場合、材料費相当額として、キャンセル料50,000円を申し受けます。あらかじめご了承ください。
      胚移植後の取り消しはできません。
      患者さまは治療中、胚移植前であればいつでも本治療の同意を取り消すことが可能です。

      個人情報の取り扱い 適応 : 顕微授精 ・ 胚移植
      顕微授精・胚移植法により妊娠した場合、日本産科婦人科学会への報告義務があります。そのため、妊娠・分娩後の経過について当院より分娩施設へ問い合わせがあった場合、情報の提供に同意していただけますようお願いいたします。また、当院における個人情報の使用は、個人情報保護法及び関連するガイドラインに従っており、医療提供、診療費請求のための事務、当院での管理運営業務と、医療サービス向上のために守秘義務誓約書を交わした審査機関による審査のみとし、それ以外の目的で使用されることはありません。なお、学会報告に使用される個人的情報は全て匿名化され、個人を特定できないよう、十分に配慮いたします。
      セットA追加説明内容

      追加説明書S-Ⅰ 胚盤胞培養

      1. 受精卵を5日から6日培養すると胚盤胞という状態に成長します。胚盤胞まで発育すると胚の選別が容易になります。また、凍結保存し融解を行い胚移植することにより妊娠率が高くなります。1個の胚盤胞を移植することにより多胎妊娠を防止でき、かつ高い妊娠率を得ることが可能になります。
      2. 全ての受精卵が胚盤胞まで成長するとは限らず、受精した受精卵のうちの約50%が胚盤胞まで成長すると言われています。しかし、個人差があるため胚盤胞まで至らずに成長が止まる場合もあります。
      3. 胚盤胞移植の場合、一絨毛膜性双胎の割合が高いと報告もありますが、明確にはなっていません。
      4. 胚盤胞移植により、出産した児の長期予後については、詳しく分かってない部分があります。
        追加説明書S-Ⅱ  個人輸入薬
        患者さまは治療中いつでも体外受精・胚移植法の同意を取り消すことが可能です。ただし、一度同意があって行った医療行為について、あとから同意を取り消した場合、すでに行われた医療行為については同意があって行われたものとします。当院では、不妊治療のために個人輸入薬を使用しています。[エストラジオール(プロギノバ)・r-hCG(Ovitrelle)]
      1. これらの薬は我が国では未だ認可されていませんが、我が国以外では世界各地で広く使用されています。
      2. 当院で使用する個人輸入薬は、厚生労働省の許可を得て購入しています。
      3. 患者さまは治療中いつでも本治療の同意を取り消すことが可能です。ただし、一度同意があって行った医療行為について、あとから同意を取り消した場合、すでに行われた医療行為については同意があって行われたものとします。


      追加説明書S-Ⅲ 適応外での使用薬剤

      1.フェマーラ®(レトロゾール)

    • フェマーラ®(レトロゾール)について女性ホルモンは、卵巣から分泌されるほか、副腎から分泌される男性ホルモンが、脂肪組織などに存在するアロマターゼにより変化することで生成されますが、フェマーラ®はこのアロマターゼの活性を抑制することで女性ホルモンの生成を抑える薬です。「フェマーラ」は「閉経後乳癌」を適応としてノバルティスファーマ社・中外製薬から発売されている「アロマターゼ阻害剤」という種類の薬剤です(成分名:レトロゾール、商品名:フェマーラ®)。
    • フェマーラ®(レトロゾール)と卵巣刺激最も一般的な内服排卵誘発剤であるクロミフェン(クロミッド®・セロフェン®)と比較して卵胞発育は遜色なく、さらに半減期が短い、子宮内膜が薄くならない、FSHに対する反応が良くなる、血中E2値が生理的レベルに抑制され着床率を改善する、などの利点が特長です。
      単独で用いる場合には月経3日目より1錠2.5mgあるいは2錠5.0mgを5日間内服します。FSHを併用する場合はフェマーラ®開始翌日あるいは終了翌日より開始します。フェマーラ®は2001年よりカナダのCasper等によって卵巣刺激の薬剤として使用されました。
    • フェマーラ®(レトロゾール)の不妊治療における安全性について内容は、カナダMontreal Fertility Centerにおいてフェマーラ®投与により誕生した150例の新生児と、カナダSt Mary病院で1995~2004年に出生した新生児36,050例を比較した調査で、「総奇形率に差はみられなかったものの、フェマーラ®を投与された母体から産まれた児は、総奇形に占める運動器系の奇形と心奇形の割合が有意に上昇している」と報告されました。しかし2006年、Tulandi T医師らにより911名の新生児の先天奇形についての報告がなされました。この研究では、フェマーラ®群524名、クロミフェン群397名を比較したところ、総奇形率・大奇形率・心奇形率はフェマーラ®群で2.4%・1.2%・0.2%、クロミフェン群で 4.8%・3.0%・1.8%であり、先天奇形率はクロミフェン群よりもフェマーラ®群に少ない傾向がみられました。
        1. また2005年のアメリカ生殖医学会で発表されたBiljian MMらの報告に対して、フェマーラ®を投与していない群は、フェマーラ®群より5歳若く、双胎率が低く合併症が少ないなど低リスクであり、不妊治療群ではないことなど、フェマーラ®投与の有無以外の違いもあることから研究としての信頼性に乏しく、フェマーラ®の危険性は明らかではないと指摘しています。
        2. この報告を受けて2005年11月にHealth Canadaと、製造・発売元であるノバルティスファーマからフェマーラ®を排卵誘発目的に使用することへの警告が出されました。
        3. 2005年、アメリカ生殖医学会でBiljian MM医師らより、フェマーラ®の投与により不妊治療を受けた母体から生まれた児の調査が行われました。

       

    • フェマーラ®(レトロゾール)の副作用について
        1. 稀に、血栓症、頭痛、肝機能障害などが報告されています。

       

    • 本治療の継続についてただし、一度同意があって行った医療行為について、あとから同意を取り消した場合、すでに行われた医療行為については同意があって行われたものとします。適応:卵巣欠落症、卵巣機能不全症、更年期障害、腟炎(老人、小児および非特異性)、機能性子宮出血*エストラーナ・プロギノバとプレマリンは、それぞれ代替しあうこともある。3.エストラーナテープ適応外:
      1. 適応:更年期障害及び卵巣欠落症状に伴う下記症状、血管運動神経症状(Hotflash及び発汗)、泌尿生殖器の萎縮症状、閉経後骨粗しょう症、性腺機能低下症、性腺摘出又は原発性卵巣不全による低エステロンゲン症
      2. (プロギノバが使えない患者さまに対してプレマリンを投与、プレマリンでは効果が足りない患者さまにエストラーナを投与、1個では足りずに3種類まとめて投与することもある)
      3. 適応外:卵巣性無排卵症における卵胞発育調整
      4. 2.プレマリン
      5. 患者さまは治療中いつでも本治療の同意を取り消すことが可能です。
      1. 体外受精・胚移植において、ホルモン補充周期による凍結融解胚移植の移植前のホルモン補充
      2. 体外受精・胚移植において、新鮮・あるいは凍結胚移植後の、移植後のホルモン補充
      3. 体外受精・胚移植において妊娠した患者さまの、妊娠後の黄体補充4.デュファストン適応外:
      4. 適応:切迫流早産、習慣性早産、無月経、月経周期異常(稀発月経、多発月経)、月経困難症、機能性子宮出血、黄体機能不全による不妊症、子宮内膜症
      5. 先天異常の可能性:卵胞ホルモン製剤のエストラジオール(エストラーナテープ)は添付文書で妊娠または妊娠している可能性のある女性及び授乳婦の使用を禁忌としています(プロギノバも海外から輸入するため、我が国の添付文書は存在しませんが同様の成分です)。その理由として、胎児が男児の場合には女性化などが心配されており、胎児が女児の場合、1940-70年代に使用されたジエチルスチルベステロール(強力な合成卵胞ホルモン様作用物質)が引き起こした女児出生後の腟癌の可能性と同じ危険性などが心配されています。しかし当院では天然型ホルモンであるエストラジオールを自然妊娠におけるホルモン値に見合う量だけ使用するので、上記のような心配はないと考えています。エストラジオールを補充する方法は世界的には1980年始めから実施されています。2013年末までにエストラジオールを使用して生まれた児は世界で約70万人と推定されますが、児に対する副作用は指摘されていません。したがってエストラジオールの安全性についての国際的な了解は得られていると考えています。
      1. 体外受精・胚移植において、ホルモン補充周期による凍結融解胚移植の、移植前のホルモン補充
      2. 体外受精・胚移植において、新鮮・あるいは凍結胚移植後の、移植後のホルモン補充
      3. 体外受精・胚移植において妊娠した患者さまの、妊娠後の黄体補充(4W0D~)
      4. 保険適応対応の使い方(黄体機能不全、切迫流産、機能性子宮出血、無月経)5.ルトラール適応外:体外受精・胚移植において、ホルモン補充周期による凍結融解胚移植の、移植前のホルモン補充(~4W0Dまで) 卵巣機能不全、黄体機能不全、機能性子宮出血、無月経先天異常の可能性:黄体ホルモン製剤のルトラールは添付文書において「先天異常児出産との因果関係はいまだ確立されたものではないが、心臓・四肢などの先天異常を出産した母親では、対照群に比して妊娠初期に黄体または黄体・卵胞ホルモン剤を使用していた率に有意差があるとする疫学調査の結果が報告されている」としています。しかし妊娠中にプロゲステロンを補充して生まれた児は1980年始めから2013年末までに400万人と推定されていますが、児に対する副作用は指摘されていません。したがってプロゲステロン製剤の安全性について国際的な了解は得られていると考えています。
      5. デュファストンとの違いは、卵巣機能不全に適応があり、切迫流産に適応があること。妊娠後の黄体補充はデュファストンが原則ではあるが、アレルギーなどにより使えない場合、その他デュファストンが合わない場合、体外受精・胚移植において妊娠した患者さまの、妊娠後の黄体補充として、使用する場合もある
      6. *保険適応対応の使い方
      7. 体外受精・胚移植において、新鮮・あるいは凍結胚移植後の、移植後のホルモン補充
      8. 適応:無月経、月経周期異常(稀発月経、多発月経)、月経量異常(過少月経、過多月経)、月経困難症、機能性子宮出血、卵巣機能不全症、黄体機能不全による不妊症
      9. 先天異常の可能性:黄体ホルモン製剤のデュファストンは添付文書において「先天異常児出産との因果関係はいまだ確立されたものではないが、心臓・四肢などの先天異常を出産した母親では、対照群に比して妊娠初期に黄体または黄体・卵胞ホルモン剤を使用していた率に有意差があるとする疫学調査の結果が報告されている」としています。しかし妊娠中にプロゲステロンを補充して生まれた児は1980年始めから2013年末までに400万人と推定されていますが、児に対する副作用は指摘されていません。したがってプロゲステロン製剤の安全性について国際的な了解は得られていると考えています。


      追加説明内容

      補助技術説明書T 卵子活性化

      1. 顕微授精を行う際の補助技術の1つです。
      2. 過去に顕微授精を行い、受精卵がほとんど得られなかった場合、その原因として、卵子または精子が自分の力で受精のための活性化を起こせなかったことが考えられます。活性化を起こせないことが予想される場合の対処法の一つとして、次の治療周期で顕微授精を行う際に、人為的に活性化を起こす方法があります。この方法として、顕微授精後の卵子をストロンチウムまたは、カルシウムイオノフォアという薬剤を含む培養液で培養するというものです。
      3. 本法は未だ確立された手法ではなく、世界的に広まっているものではありません。
      4. 卵子活性化には別途技術料として20,000円(税別)がかかります。尚、卵子活性化を実施する場合は、別途同意書へのサインが必要です。補助技術説明書T IMSI法
      1. 顕微授精を行う際の補助技術の1つです。
      2. IMSI(Intracytoplasmic morphyologically selected sperm injection)とは、高倍率で精子の形態観察を行い、遺伝情報の詰まった精子頭部に空胞(穴が開いている状態)などがないかを確認して形態の良好な精子を顕微授精に供する方法をいいます。
        通常400倍または600倍で精子を選びますが、この倍率では小さな空胞は確認できません。しかしIMSIでは6,000倍で観察するため小さな空胞も確認することができます。
        受精卵の成長には精子の選別が重要であるため、何度か体外受精をしていても妊娠に至らない方や、精子の形態があまり良好ではない場合にその中から良好な精子を選別するために非常に有効になってきます。IMSIは通常の精子選別より時間がかかるというデメリットがありますが、より質のよい精子を選別することで妊娠率が上昇し流産率が低下するという報告もあります。
      3. 当院では、顕微授精を受けられる場合で、医師または培養士が特に必要と判断した場合に、IMSI法を実施しています。別途技術料として20,000円(税別)を頂戴する場合があります。
      4. IMSIは通常、体外受精(顕微授精)を行ったが胚発生不良だった場合などに行います。このため、原則として初回の顕微授精の治療ではIMSIは行いません。


      補助技術説明書T  Polscope法

      1. 顕微授精を行う際の補助技術の1つです。
      2. 利点通常、顕微授精を行う際は、まず卵子が成熟していることを確認してから行います。卵子が成熟すると、第1極体が放出されます。そのため、第1極体がある=卵子が成熟していると考えて顕微授精をおこなっております。しかし、第1極体があっても染色体の分裂の時期がまだ成熟した段階ではないことがあります。通常の顕微鏡では、染色体を観察することは出来ないので、これまでは第1極体の有無が指標となってきました。近年、特殊な装置(OocyteTM Imaging System)を顕微鏡に装着することで、卵子の成熟分裂に関わる紡錘体というものが視覚化されるようになり、卵子が成熟しているかどうかをより的確に判断することが出来るようになりました。そのため、より適切な時期に顕微授精を行うことが出来、受精率の向上や、その後の胚発生も良好になるとの報告もあります。紡錘体の位置を確認出来ることで、顕微授精の際に針で紡錘体を傷つけるリスクが低くなります。
      3. ●紡錘体の人為的損傷を回避できる。
      4. ●卵子の成熟度を的確に判断し、適切な時期に顕微授精を行なうことができる。
      5. 効果これまで、当院で行なってきた症例の平均だと、第1極体が確認できた卵子の約8割に紡錘体を確認することができます。つまり、卵子内の染色体は成熟分裂中期といわれる時期にあり、卵子が成熟していることを示します。また、紡錘体を確認できた卵子のうち約8割が第1極体付近に紡錘体を確認しており、通常の顕微授精の際でも紡錘体を傷つけることがないような位置にあります。
      6. つまり、第1極体の確認できた卵子のうち7~8割は成熟分裂中期の時期にあり、紡錘体を傷つけるリスクは低く、Polscopeを施行しても、しなくても同様の結果である可能性が高いと言えます。残りに関しては、紡錘体が観察出来なかったうちの約半分が1時間ほどの追加培養により紡錘体を確認できる(後から成熟してくる)こともあり、このような場合、Polscopeを用いることにより適切な時期に顕微授精を行なうことが出来るので、受精率や胚発生の改善が期待できます。追加培養を行なっても紡錘体が確認できない時は、紡錘体が傷ついているなど、何らかの異常がすでに生じている可能性があり、受精率や胚発生に影響してくる可能性が考えられます。しかし、確実に異常があるとはいえず、経過を観察する必要があります。そのため、Polscopeの使用は、何回か体外受精を行っても妊娠に至らない症例に有用であるとの報告があります。
      7. Polscopeの技術は、卵子の成熟度の判定や紡錘体の位置を確認して人為的損傷を与えることを回避する方法であり、卵子の質を向上させる技術ではありません。
      8. 当院では顕微授精を受けられる場合で、医師または培養士が特に必要と判断した場合に、Polscope法を実施しています。別途技術料として20,000円(税別)(9個以内)を頂戴する場合があります。
      9. Polscopeは通常、顕微授精を行ったが受精率や胚発生が不良だった場合などに行います。このため、原則として初回の顕微授精の治療ではPolscopeは行いません。あくまで一例であり、モデルパターンとは異なることがあります。採卵、胚移植予定日などは、卵巣の反応等により、誘発開始時の目標とずれることもあります。
           
        代表的な誘発方法



     

     

     

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